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きょうの興:JR化後も活躍、国鉄型「103系」 高度経済成長期を快走 /京都
 ◇逆風でも愚直に

 半世紀近く前に製造が始まり、高度経済成長の足として活躍した国鉄型電車「103系」が今もJR西日本で現役を続けている。新型電車のような華はなく、JR東日本やJR東海の仲間は既にお払い箱に。JR西でも奈良線などを走り、「花形」からはほど遠い。だが、逆風に負けず、愚直に走る103系。昭和の香りを乗せて走るその姿は、まるで「サラリーマンのかがみ」だ。【広瀬登】

 新幹線や新快速が行き来するJR京都駅。在来線ホーム南端の10番線で103系は出発を待っていた。尾灯が小さい顔はどこか気弱そう。黄緑色の車体はかつての山手線を思わせる。運転士が出発のノッチを入れると、野太いモーター音が鳴り、「ゴットン」と動き始める。スピードが高まると、音調が上がり少々息苦しそう。最新型電車とは好対照に、103系は野暮ったく人間くさい。

 天井の扇風機が「昭和レトロ」の空気を醸し出す103系だが、誕生した1963年には最先端だった。東京五輪を翌年に控え、高度経済成長真っ盛り。膨らみ続ける通勤需要を支えた。

 設計は極めて実用的だ。前後左右を潔く切り落とした食パンのようなフォーム。両開き扉は客の乗降をスムーズにし、遅れを防いだ。短い駅間を走っては止まるため、速度より加減速を重視。従来の車両よりギア比を上げたため「自動車のローやセカンドで走っている感じ」(JR西)で、最高速度は100キロ止まり。足は速くないが加速は力強い。

 安定した性能が評価され、国鉄は84年まで計3447両を新製。最大勢力を誇った。オレンジやスカイブルーなどカラフルに塗り分けられた車両は、大阪環状線や山手線、京浜東北線といった「国電」と呼ばれた路線を席巻した。

 転機は国鉄民営化とともに訪れた。「コスト半分、寿命半分」をうたったJR東日本の209系やスピード自慢のJR西の221系など個性的な新車が次々と登場。押し出される形で、103系の“都落ち”が始まった。首都圏の車両は仙台へ。大阪環状線の車両は奈良線などへ移された。

 それでもJR西では446両(09年10月現在)も生き残っている。もちろん昔のままの車体ではない。窓枠やシートを交換、クーラーなどが取り付けられている。

 一般的な電車の寿命が20~30年とされる中で、103系がなぜ現役なのか。JR西は「経営判断に尽きる」とつれない。恐らく新車を導入する余裕がないのだろう。おかげで、本数こそ少ないものの大阪環状線でもまだ103系に乗ることができる。

 交通科学博物館(大阪市)の担当者は「103系はもともと加減速の性能が優れている上、大量製造されたので部品も調達しやすい」と生き残っている理由を別の角度から説明し「置いておいて困る車両ではない」とサラッと話す。だが、ファンにとっては「老兵いまだ去らず」。喜ばしい限りである。
毎日新聞 2010年4月14日 地方版

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